開業実例

成功者インタビュー

Concept

“なあなあ”の関係は今すぐ捨てること
経営者の意識次第で店は大きく変わる

霞町三〇一ノ一

渡辺 ひと美さん

フリーアナウンサーとして活躍すると同時に、店舗デザインやプロデュースも手掛ける。2006年に自らの店舗「霞町三○一ノ一」をオープン。以来、“プロもうなる店”として常に話題の的に。

★霞町三〇一ノ一★

住所:港区西麻布2-12-5 MISTY西麻布3F
TEL:03-6805-3227
営業時間:18:30~2:00
定休日:日曜日
店舗情報:【 公式HP 】

業種:
和食
予算:
3,000万円〜
面積:
15坪 (49.59㎡)〜
地域:
港区
初期設備:
スケルトン

極上の料理と酒を、極上の空間で提供。
それが「霞町三○一ノ一」クオリティ

エレベーターを降り、薄暗い通路を進むとうっすら見えてくるのが「霞町三○一ノ一」のドア。暗証番号を入力して入るスタイルは大人の隠れ家の雰囲気たっぷりだ。秘密めいたエントランスの先には、通なら驚愕するであろう銘柄の酒が最高の状態でスタンバイしている。さぞかしハードルの高い店かと思わせておきながら、迎えるのは茶目っ気たっぷりの料理長と笑顔を絶やさないスタッフたち。……こんなふうにさまざまな表情を放つ店を作り上げられるのは、フリーのアナウンサーでありながら利き酒師としても活躍、飲食店のプロデュースやコンサルタント業務まで幅広くこなす渡辺ひと美さん以外にいないだろう。来年でオープン10周年。星の数ほどの飲食店が現れては消えていくこの西麻布の地で、押しも押されもせぬ人気店に育て上げた。

スタッフとともに。利き酒師でもある渡辺さん一押しは、プレミア銘柄として名高い青森の銘酒「田酒」。蔵元さんとの信頼関係のもと、独自の仕入れが可能に。

料理人や経営者が集う店という
明確なビジョンを持って行動開始

「5年間探した末に、やっと見つけた物件でした。さまざまな偶然が重なって、いいタイミングで私の前に現れてくれたんです。せっかくの縁を生かすべく、それまでの経験や知恵をすべて出し切って店づくりに取り組んだつもりです。収入のほとんどを食べ歩きや蔵元巡りに費やした甲斐があったというもの(笑)。食べ歩きでは、料理だけでなく店の構造や収納、スタッフの動きやすさなどを細かく観察して記憶にストックしていました。そのうえで“私だったらこうする”と、自分なりのアイディアを構築したのです。だから10年たった今でも不便に感じたり、直したいと思うところは全くありません。 いいお店になるかどうかは、自分のイメージを形にしていけるかが大きな分かれ目になると思います。私は料理人や経営者が集まる店を作りたいというはっきりしたビジョンを持っていました。同じアイデンティティーを持つ者同士が、同じ時間、味、会話をピュアに楽しむ空間にしたかったんです。そのために必要な要素は、ひとつひとつを図や文章でまとめていました。いつでもどこでも誰にでも、自分のビジョンを明確に伝えられるように」 渡辺さんがこだわったところ、実践したところを挙げてみると、 ・半個室タイプで独立性を保ちながらも、窮屈さを感じないレイアウト ・どの席も「あたり」と思わせる絶妙な演出 ・中に収納機能を加えたベンチシート ・料理人の手元を見てもらえるようカウンター設置は必須 ・カウンター椅子の座り心地は特に重要視し、幅も従来より広げてリラックス度を増した ・もっとも効率よく作業できる動線に合わせて、どこに何を置くかを徹底的に分析 ・いろいろな種類の酒を試してもらうため、あえてボトルキープ制にはせず、リーズナブルな料金で提供する ・港区西麻布という場所柄、深夜から食事や酒を楽しみたいという層に応えて、平日は午前1時、休前日は午前3時まで営業する ・リクエストは臨機応変に対応    など。 契約が決まってから、1か月の間でこれらの試みをすべて形にした渡辺さん。寝ずに勉強、研究し、8kgも痩せたというが、その努力こそが現在も客に支持され、店の人気を支える土台になっている。

経営者は孤独であれ
続ける勇気と経験が店を育てる

しかし、そのあと「それだけでもダメなんですけれど」と付け加えた渡辺さん。理想の店への情熱、行動力と同じくらい、いやそれ以上に必要なものがあるという。 「“自分は経営者”だという気構えは決して忘れてはいけませんね。もちろんみなで結束して和気藹々と仕事することは必要ですが、友達や仲間だという意識をもってしまうと結局は自分の首をしめ、相手をも傷つけてしまう結果に。実は自分が甘かったばかりに大きなトラブルを招いてしまった経験もありました」 苦い経験を生かし、あえて“孤独な経営者”でいると決めた。店全体を俯瞰し、常に冷静な判断ができるよう一定の線引きを行ったのだ。 「東日本大震災のあとでしょうか。この西麻布ですら、消えた街の明かりがしばらく戻らず経営者はみな苦戦を強いられました。結局そこで生き残れたのは、しっかりと線引きができた店だけ。“この店”に来ることを楽しみにしてくださるお客様がいらっしゃる以上、料理のクオリティを下げるわけにはいかないから、仕入れは以前のままでと決めていました。その分、生き残るため固定費や人件費を削ることにしたのです。決まった支払いを安くならないか頭を下げに行ったり、従業員の数を減らすなど、苦渋の決断の末、私も行動に移しました。……でも、もしあのとき悩み迷って行動せずにいたら、今この店はないでしょう。窮地に立たされたとき、自分で決断し行動する“続ける勇気”を持っていられるか。それが経営者に問われる資質だと思います」 さまざまな経験から確立した“経営者”としての方向性。いい店は経営者のたゆまぬ努力とゆるぎない決意が土台になるのだと改めて教わった。

カウンターには、最高級のイベリコ豚の生ハムが。「ジャンルにこだわらず、美味しい料理と美味しいお酒の組み合わせを提案しています」(渡辺さん)

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